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泉太郎の新作

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清澄のギャラリービルのオープンに3週間ほど遅れていったおかげで、泉太郎の新作映像がギャラリー「HIROMI YOSHII」で見られた。怪獣人形(ソフトビニール?)が指差しながら、石段を「ひとつ、ふたつ、みっつ…」、葉っぱの枚数を「さんじゅうご、さんじゅうろく…」ランニングする人を「ひとつ」などと場面ごとに数を数えているというビデオ作品。目に入るものも人もどれも固有の数え方を無視して全部平等にし(英語ならどのみちワンツースリーだが)、つぶやくように数えているだけ。

では、ゼロは数えられるだろうか?  この作品は、ものの成り立ちとか、居合わせ方とか、数だけで偶然そのときどきを意識させることがとりあえずできそうなおもしろさと危うさを持っているように思うのだが、どうでしょう。

袖口からフマキラーやらへんなかたちのものを出して、変形した腕ともつかない何かを出したりひっこめたりする作品もおもしろかったが、案外いい線を来ているように思った。本人も言っていたが、もうひとつのテレビのパロディは社会批判としてわかりやすいけど、時代に限定されてあせてしまう気がする。そうではなく、この人の作品はどうにも転がりようがない感じが誰にもない持ち味だと思う。情けなさは失わずもう少し「あ、美しいかも」という瞬間があってもいいけど、ぜひともきれいにまとまらないようにと願います。

words:白坂ゆり

遊覧アーカイブ
2005年個展

2006-01-05 at 01:20 午前 in 展覧会レポート | Permalink

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コメント

数が数えられなくなるという場面もあったかなー。

投稿情報: | 2006/09/28 12:07:32