スカルプチャーセンター「Leopards in the Temple」展
彫刻かと思ったら
MoMA のガブリエル・オロツコの回顧展を見てがっかりしたのは、作品そのものに対してではなく、展示場所との関係だった。ヨーグルトのふたを壁に貼付けたあの有名な作品は、そこにだだっ広い空間があるからこそ生きるのであって、人がひっきりなしにすれ違う通路のような場所では神通力がなくなってしまう。空間の代わりに台座や狭い壁面を与えられ、作品は物体と化していた。そんなことを思い出したのは、クイーンズのP.S.1近くにあるスカルプチャーセンターで開催中の「Leopards in the Temple」の展示が空間と実にうまく調和していたからだ。
João Maria Gusmão and Pedro Paiva “Paramagnetism”, 2004
16mm film, color, no sound, 1’43”.
Courtesy: Galeria Graçabrandão, Lisboa
スカルプチャーセンターはアーティストによって1928年に設立された非営利のアートスペース。2001年、トロリー修理工場だった建物を買い取ってマンハッタンから移転し、アーティスト/デザイナーのMaya Linが建物のデザインを担当した。レンガの壁でできた巨大な建物は工場の雰囲気がそのまま残る。1階は高い天井を生かした仕切りのない空間、地下の展示室は少しかび臭くて薄暗く、狭い通路を歩いているとアートスペースとは思えない不気味ささえ覚える。
2010-02-06 at 08:53 午後 | Permalink | コメント (0) | トラックバック (0)
スチュア−ト・シェアマン「Nothing Up My Sleeve」展
奇術的な存在
「マジシャン」と聞けば、おなじみのあのポール・モーリアの曲にのって登場するマジシャンの姿が思い浮かぶ。ハトやウサギが飛び出す黒いシルクハットをかぶり、シャツのポケットには鮮やかな色のスカーフが入っている。そでの中やジャケットのどこかに何かを隠しているに違いないのに、それを悟らせないポーカーフェイスや巧みな手さばき、そして目の前で繰り広げられる不思議なトリックに簡単にだまされてしまう。
《Stuart Sherman's Eleventh Spectacle (The Erotic)》
Photo Copyright ©1978 Babette Mangolte All Rights of Reproduction Reserved
スチュア−ト・シェアマン(Stuart Sherman、1945-2001)にそんなマジシャンの雰囲気を感じた。マンハッタンのロウアー・イースト・サイドにある非営利のオルタナティヴ・アートスペースPARTICIPANT INCで開催された「Stuart Sherman: Nothing Up My Sleeve」は、彼の奇術めいたパフォーマンスを映像で紹介した展覧会である。
2010-01-05 at 12:03 午後 in ワールド・レポート | Permalink | コメント (0) | トラックバック (0)
マイケル・ウィリアムズ「Uncle Big」展
どこか大阪風
NYから塩崎浩子さんのレポートです。
展覧会案内のハガキに印刷された、個展のタイトルでもある「Uncle Big」という作品は、キャンバスらしき平面を突き破ってこちら側に刺さる大きな絵筆が一本、画面いっぱいに描かれている。この筆が「ビッグおじさん」? 1978年生まれの若手ぺインター、マイケル・ウィリアムズ(Michael Williams)のカナダ(ギャラリー名)での2度目の個展「Uncle Big」では、奇天烈な、擬人化された世界が繰り広げられている。
Michael Williams《Surf 'n Turf》2009 Oil on canvas 40 x 60 in Courtesy of CANADA
2009-11-22 at 05:09 午後 in ワールド・レポート | Permalink | コメント (1) | トラックバック (0)
Tokyo Midtown Award 2009
魅力的なアートとデザインの逸品が見られる
東京ミッドタウンが昨年スタートしたアートとデザインの公募「Tokyo Midtown Award」。この度2度目の審査結果が出て、現在入賞作品が展示されている。
会場は人の流れが途切れることのないプラザB1Fメトロアベニュー展示スペース。手前が平田創「Funky Project 09 Japan Colors」
同公募は、東京ミッドタウンのコンセプト「JAPAN VALUE(新しい日本の価値・感性・才能)」の創造を目指すためのコンテンツの一環として創設された。目的は次世代を担うアーティストとデザイナーの発掘、支援である。同公募に限らないが、初回は主催者側の意図や求めるイメージが十分伝わらない場合が多い。前例がないため仕方のないことだが、特にアートコンペの展示空間「通路ガラスケース」という特殊な場に難しさを感じた応募者も結構いたと思う。それでも第1回は多数の応募作品が集まり、ガラスケースでの発表はなるほど!と思えるものが見られたし、デザインコンペでは「日本の新しい手みやげ」にぴったりなウィットに富んだ作品が選ばれていた。
2009-11-02 at 12:55 午後 in 展覧会レポート | Permalink | コメント (4) | トラックバック (0)
クーパー・ユニオン大学ギャラリ−「Free as Air and Water」
美しい空気や水があまねく与えられるために
NYから塩崎浩子さんのレポートです。
社会的なメッセージを伝えるのに、アートが必ずしも最良の方法ではないように思われることがある。しかし、この展覧会はそんな気持ちを覆してくれるものだった。クーパー・ユニオン大学内のギャラリーで開催中の「Free as Air and Water」は、奨学金制度により学生に無償で教育を提供しているこの大学の開学精神に端を発した、社会的なメッセージの込められた展覧会である。
Allora
& Calzadilla《Under Discussion》2005; Single Channel Video with Sound, 6:14 Courtesy
Gladstone Gallery Photo: Allora & Calzadilla
2009-10-25 at 07:05 午後 in ワールド・レポート | Permalink | コメント (1) | トラックバック (0)
