« 秘境を求めて | メイン | チャーウェイ・ツァイによる『パルケット』展ローカル・プロジェクト »
糸賀英恵展
女性の身体×花ビラ
いい出会いは予期せずやってくる。相手が作品だとしても。
ギャラリーの中で、ひとつは床に横たわり、もうひとつは自立していた。渋く輝く金属製で、叩いた跡があるから鍛金による作品だろう。それにしても軽やかだ。作品が醸し出す空気に興奮しながら右側の物体に近づく。動物の肢体らしき滑らかな曲線、オモテとウラの行方を見極められない複雑なひねり、メビウスの輪どころではない。立ち位置を変えると、あら不思議。交差する二人の女性に見えてきた。
「相思華」ふたりの女性がすれ違う瞬間!
タイトルは「相思華」。作家の糸賀英恵さんによれば、母娘のすれ違いを表現したかったとのこと。一緒に暮らしていても素直になれない関係もあるし、離れていても互いを思いやる関係もある。それが、離れようとしながらも引き合うカタチなのだ。
もう1体の「月に磨く」は慣用句から付けたという。意味は月光を浴びて景色がより美しく見える様のこと。地面を這うように凛と咲くチョウセンアサガオに感動した体験からイメージしたそうだ。こちらは表裏の色が異なっていた。横たわる女性像と花をミックスした、なまめかしい形。
「相思華」別の角度から見たらこんな形
金属片を継ぎ合わせ、丸みや反りを叩き出し、それらのパーツを溶接して、最終的にひとつの作品ができあがる。その作業量はハンパなく、完成するまで半年以上かかるらしい。
「月に磨く」横たわる女性に見えてくる
作品の表面に沿って視線を滑らせる。筒状のラインは女性の身体、先端の波打つ形態は花ビラのよう。なんてしなやかな作品だこと。見る角度によって変容する作品なので、360度からの鑑賞をお勧めする。
糸賀英恵展
ギャルリー東京ユマニテbis
2013年11月25日(月)〜11月30日(土)会期中無休
10:30〜18:30(最終日18:00) 入場無料 TEL 03-3562-1305
東京都中央区京橋2-8-18 昭和ビルB2F
words:斉藤博美
2013-11-29 at 12:51 午後 in 展覧会レポート | Permalink
トラックバック
この記事のトラックバックURL:
https://www.typepad.com/services/trackback/6a0120a853c3af970b019b01d0b153970b
Listed below are links to weblogs that reference 糸賀英恵展: