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角 文平展 植物園
延命の魔法
角さんの作品は変化し続ける。
過去には建築資材を使った重厚な作品もあった。宇宙戦艦ヤマトと江戸城を合体させた作品や、鉄塔を盆栽に、アームに乗せたミニチュアの家を巣に見立てたり。それらにはいずれも人工物の姿が見え隠れしてきた。
植物園と題した今回の展覧会は、不要となって持ち主から手放されたモノに、人工の「芽」を生やした作品ばかりが並んでいる。会場中央には熊の置物が大集合。昔の北海道土産の定番、一家にひとつはあっただろう木彫りの熊だ。手前には小さなサイズ、後方にいくほど大きくなり、最終ラインは結構大きな熊が4頭。ひとくちに木彫りの熊といっても、彫りの深さ・細かさ・雑さ、顔の凛々しさ・愛らしさ、くわえた鮭のリアルさ・・・どの熊にも違い=個性がある。熊の色も黒だけではなく茶色や赤みを帯びたものまで。古びた感じを出すために脱色した熊もあるそうだ。
ネットで只同然に売られていたという現代の不要品「熊の置物」に、角さんはたくさんの芽を生やし、彫られる前の「木」に戻してあげた。イヤゲモノとも言われる存在になってしまった熊たちに「作品化」という延命の魔法をかけたのだ。集団でこっちを向いている姿は、初々しい生命力に満ちていた。
会場には他に、ミニタンス、木製ラケット、教会の椅子、額縁などが展示されている。いずれの木製品にも、芽が生え、蘇生されている。
角 文平(かどぶんぺい)展 植物園
GALERIE SOL
2015年1月12日(月)〜1月24日(土)日曜休廊
11:00〜19:00 入場無料 TEL 03-6228-6050
東京都中央区銀座1-5-2 西勢ビル6F
words:斉藤博美
2015-01-22 at 11:54 午前 in 展覧会レポート | Permalink
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