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ハッピー・ピョンヤン2010

リアルな記録、笑顔の行方

Pyongyang01いま銀座で、かなり珍しい展覧会が開催されている。
企画者は荒巻正行さんという学者。もともと東アジア学を専攻し、中国の文化大革命を研究中に出合った北朝鮮に関心を持ち、発展の過程を映像で記録していく使命感を感じたという。

(写真)手前の作品は刺繍でできている。6人の共作だそうだ。

1997年から頻繁に北朝鮮へ足を運び、記録した映像は1000時間にも及ぶ。北朝鮮に入ると必ずガイドが着くそうだ。当然費用は訪問者の負担。ガイドとはいうものの体裁のいい監視員であり、撮影にはうるさい。荒巻さんはジャーナリストではないため、ガイドの言うことには従い無理強いしない。それにより信頼関係ができ、結果として撮影内容にも融通がきくようになったらしい。北朝鮮は、閉ざされた国、扱いにくい国という印象があるが、国民レベルならば人間関係の掟は変わらないのだ。10年が経った時、ミュージシャンとタッグを組んで北朝鮮の子どもたちにロックを教え、曲までプロデュースした。しかしあくまで目的はその一連の記録であることに変わりない。

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今回ギャラリーに展示されている作品は、北朝鮮の工房に依頼した職人の手による絵画。どの作品にも少年少女とピョンヤンの近代的な街の風景が描かれている。彼ら彼女らの取ってつけたような笑顔がやけに眩しく、視線がくぎ付けになる。これらは職人たちに「可憐な少女」「凛々しい少年」というお題で幸せのかたちを描いてほしいと発注して完成したものだ。

(写真)音楽(視聴可能)からイメージして制作された作品。宝石を砕いて描かれているが、その方法は企業秘密だそうだ。

直接やり取りすることができないため間接的なコミュニケーションではあるが、何度か重ねるうちに意思の疎通ができるようになったという。やがて職人たちは 知らず知らず自分たちが描きたいものに気づいていく。完成度を求める国のお眼鏡に叶った工房だけに、仕事はスキ無く美しい。

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荒巻さんの目的はキム・ジョンイル時代の空気や質感を残すこと。それゆえに絵画が必要だった。同展を「荒巻さんと工房の共同作業によって生まれた北朝鮮初のコンセプチュアル・アート」と紹介するギャラリーの大胆さもアッパレだ。

(写真)笑顔が眩しい少年たちの姿から見えるものとは?

ハッピー・ピョンヤン2010
東京画廊+BTAP
2013年10月5日(土)〜10月26日(土)日曜・月曜・祝日休廊
11:00〜19:00(土曜日17:00) 入場無料 TEL 03-3571-1808
東京都中央区銀座8-10-5 第4秀和ビル7F

words:斉藤博美

2013-10-23 at 07:44 午後 in 展覧会レポート | Permalink

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