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田中朝子展

「本の中を歩く」


art181_04_1展示の様子


■十字に組んだ白いパーテーションで区切られた展示空間はちょっとした迷路のようだった。縫うようにして歩きながら作品を見る。白いカップ、オレンジ色のミキサー、待ち針。白い画面の中に身近なイメージの物が写るモノクロやカラーの写真に混じって、ところどころにれいな色の薄紙や、版画、紙製のパズルもある。

■展示されているのは、田中朝子さんのアーティストブックを構成する100枚の作品。会場のロフトに上がると、階下のスペースに展示してある全ての作品が収められた本があり、手に取って見ることができる。本といっても、通常の本のように綴じられているものではなく、壁にも掛けられる透明のアクリルケースに入っている。

■真ん中にぽつんと写ったバナナのレントゲンのような写真、白いウサギの後ろ姿の写真、版画作品など、最初はどれも何気ないイメージだと思ったが、一枚一枚を手にとって並べたり、模様入りの透明シートや色つきの薄紙を写真作品に重ねてみたりしているうちに、気がつけば、ちまちましたものを床に拡げて遊んだ幼い頃のように、想像が膨らんでいく自分だけの世界にどっぷりと浸っていた。

■真っ白な空間の角という角が取り払われたインスタレーションは、戸を閉めて中に入ると、距離感がつかみにくくなってしまうのか、体が浮遊しているような不思議な身体感覚に陥る。空間の角が緩やかなカーブに換わっただけで、これほどにも体の感覚も左右されるのかと驚く。このスペースに1時間も身を置いて不思議な感覚を楽しんでいる人もいれば、すぐに外へ出てしまう人もいるのだそう。

■1つの空間まるごとのインスタレーションと本、どちらにもサイズや容積という制約がある。この要素を田中さんは「枠」と呼んでいた。画一したかたちだからこそ純粋にイメージも届きやすい。作品はそんな枠の魅力にすっかりはまり込んで制作したのだという。イメージの数々にじんわりと引き込まれながら想像が拡がる心地の良い展覧会だった。


田中朝子展:boox
2003年5月10日(土)~6月7日(土)
ノマルエディション/プロジェクト・スペース
大阪市城東区永田3-5-22
(地下鉄中央線深江橋駅より徒歩5分)
11:00~19:00、土曜13:00~19:00
日休
TEL.06-6967-3042

art181_04_2作品の一つ。


art181_04_3会場のロフトから見た展示風景


art181_04_4アクリルケースに入った100枚の作品は一枚ずつ手にとって楽しめる。


art181_04_5不思議な模様のパズルシートは背面が磁石。


art181_04_6空間の角を全くなくしたインスタレーション。不思議な感覚になります。ぜひ会場にて体感してください。


2003-05-10 at 02:21 午後 in 展覧会レポート | Permalink

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