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児嶋サコ展

「痛いって快感?」


art169_04_1入口に針を1本刺した亀の形の針山を設置。入場者に作品の好きなところに針を刺すように説明書きがある。台座の下から頭をのぞかせている
「THE LONG BIG TURTLE」


■画廊の扉を開けると、布でつくった亀が並んでいて、甲羅の上にまち針を1本ずつ刺して待ち構えている。会場のオブジェの好きな場所に針を刺していくようにとアーティストからのメッセージがある。長い首の亀の赤い頭が、台の下からひょうきんにのぞく。

■オブジェはいずれも目のついた生き物っぽい形のものばかり。目は壁のほうへ向けてお尻だけしか見えないもの以外は、針を持つ手を睨まれているような気がして、針を持ったままで会場内をあっちへこっちへウロウロする。唯一《THE EAR》は耳をかたどったものだが、針を刺すにはやっぱり痛そうだ。

■それでもすでにいろんな場所に針が刺してある。目玉の上、舌の中央や、手、額のど真ん中など、かなり痛そうな場所をわざわざ選んで刺したものや、なるべく痛く無さそうな部分を選んで刺しているのがわかるようなもの、刺した人たちの心理を分析したくなる。

■ 《THE LONG BIG TURTLE》は銀色の甲羅を持つが、甲羅にビシビシと亀裂をつくりながら、ショッキングピンクの男根らしきものをはやしている。さすがに未だそれらの上に針はなかったが、これからサディスティックな人がやってきて刺さないとも限らない。

■「刺す」という行為は、視覚から受動的にも、能動的にも感覚として捉えることが出来る。見ているだけで痛い、しかし、心に住みついている悪魔の「ここならもっと痛いぞ」という囁きが聞こえてくる。刺されることも、刺すこともある種の快感をともなう。鑑賞者を巻き込んで作品はどんどんと「痛さ」をエスカレートさせてゆく。

■第2会場のO ギャラリーeyesではアーティスト本人がハムスターに扮して会期中必ずギャラリー内にいてパフォーマンスをするという。会場を区切ってハムスターの生活エリアと鑑賞者のエリアに分け、そこに「見る」「見られる」の関係が生まれるわけだが、視線を「さす!?」ってことになるらしい。どんな展開になるのかこちらも楽しみだ。


児嶋サコ個展 さす!?
2002年11月22日(金)-12月14日(土)
Studio J
大阪市西区新町3-14-8
(地下鉄千日前線・長堀鶴見緑地線「西長堀駅」1番出口すぐ)
13:00~19:00
月祝休
Tel.06-6110-8508

パフォーマンス
12月9日(月)-12月14日(土)
O ギャラリーeyes
大阪市北区西天満4-10-18 石之ビル3F
(地下鉄御堂筋線、京阪電車「淀屋橋駅」1番出口徒歩7分)
11:00~19:00(土~17:00)
日祝休
Tel.06-6316-7703

words:原久子

art169_04_2左)「BABY BLUE」 右)「BABY FAT」


art169_04_3左)「THE EAR」 右)「BABY LONG TALE」


art169_04_4「BABY LONG ARM」


art169_04_5「THE LONG BIG TURTLE」


art169_04_6写真作品「苦痛」

2002-11-22 at 09:35 午後 in 展覧会レポート | Permalink

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