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未来予想図~私の人生☆劇場~
「それぞれのアーティストたちの人生劇場」
堀尾貞治 《あたりまえのこと(位置をかえれば)》2002 12月7日に行なわれた「まねしん アルマン」
■関西ゆかりのアーティストたち10人を集めた展覧会「未来予想図~私の人生☆劇場~」。初めはなんだか馴染めない展覧会名だなと思っていたが。チラシには清楚な制服姿の少女たちが写したやなぎみわの作品写真が使われているが、目立つことも大切、この図柄とタイトルで人々はまず興味を持つ、すっかり1本とられた感じだ。
■個性派揃いのアーティストたちは10人10様。堀尾貞治は、展覧会がはじまって1ヶ月ほどになるが、その間幾度となく会場を訪れてはパフォーマンスを行なうなどして展示に手を加えていっている。3回会場を訪れたが、毎回新しい展示に出合う。エントランスに増えていたのは、「第3回まねしんシリーズ あたりまえのこと(アルマンじきこと)」(パフォーマンス:12月7日)だ。「まねしん」というのは「真似をする」、「まねっこ」という意味の神戸弁。木製ベッドの素材を大量に使い突端は3 階の渡り廊下にまで届くアルマン風のオブジェが作られていた。
■やなぎみわは年輩の女性が50年前を思い出し、彼女たちの祖母について語るビデオインスタレーション《Granddaughters》。50年前を語る映像が投影される向い側に、ナレーションする中学生たちの姿が投影されている。公募した地元中学の在学生から選ばれた少女たちが熱演。内藤絹子の作品は、自らの言葉を長いロール紙に螺旋状に転写。身体からほとばしる言葉が、高さ6m以上ある壁を埋め尽くしている。
■ネオン管を使った松井智惠の新作《寓話のいれもの-ヒマラヤ》の「ヒマラヤまで/ひとっ走りね/陽だまりの草/ヒバリも鳴いている・・・」というテキストは、未来の記憶を読んでいるような気になる。森村泰昌はこれまでの作品と撮影に使った小道具の衣装や小物などをパノラマ風に展示。見上げると木漏れ日を浴びているような錯覚を起こしそうになるのは、人の手のおよびもつかない高い所に掛けられた児玉靖枝のタブロー。
■黄鋭は観光地に民族衣装を着けたモデルを連れて行き撮影。撮影後、一定額のお金を渡して観光地に売っているものを買物させ、買った商品を写真の前に展示している。万里の長城でモデル達が買ったものは毛皮の帽子や手袋など。どうやら彼女達はよほど寒かったのだろう。
■かなもりゆうこは、彼女の身近な人々がダンスをしたり歌ったりする様子を写真やビデオなどを用いてインスタレーションに。しばたゆりはこの10年間、1993年12月3日に岡山で作ったものから2002年10月9日この兵庫県立美術館のアトリエで作ったもの迄、埃を集めて版画に刷った《Dust PRINTS 》を床から天井までギャラリー空間を斜に横断させて展示。移転前の旧兵庫県立近代美術館当時から美術館にも「埃」集めに協力してもらって制作したという。
■示された順路通りに観覧してゆくと、最後に見ることになるのが榎忠の《CORRIDOR― AK-47》。積み上げられた何の機能を持つこともない銃のカタチに鋳造した鉄の固まりが、鈍い光をたたえている。広い美術館を隅々まで歩かされるこの展覧会には、未来が予想できるかどうかは別として、各々のアーティストの「人生劇場」をみることができる。
未来予想図~私の人生☆劇場~
2002年11月19日(火)~2003年1月13日(月・祝)
兵庫県立美術館
神戸市中央区脇浜海岸通1-1-1
(JR「灘駅」より徒歩15分、阪急「王子公園駅」より徒歩10分、阪神「岩屋駅」より徒歩8分)
10:00~18:00(入館は閉館の30分前迄、土日のみ~20:00)
月曜休館(但し、1月13日開館)
年末年始12月28日~1月4日=休館
Tel.078-262-0901
words:原久子
やなぎみわ 《Granddaughters》2002
内藤絹子 《言葉のDNA(遺伝子)》2002
内藤絹子 《言葉のDNA(遺伝子)》部分
黄鋭《買物北京八景》2002
かなもりゆうこ 《フルーツ・ドロップ》2002
しばたゆり《My object ; I and object. 2002》2002
しばたゆり《My object ; I and object. 2002》2002床にあるグレーの山は埃
2002-11-19 at 03:58 午後 in 展覧会レポート | Permalink
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