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ミナ粒子展

「つくるということ」


art154_01_1半年ごとに切り替わるシーズンの最新のコーディネート、ではなく、あえて年代を混ぜている。服の寿命とは?


■鳥のはばたき、架空の動物、雨、さざ波……。ミナの服を最初に見たとき、アニメーションにしたらおもしろいなと思った。着たら楽しい気分になるとか、描かれているもののおもしろさはもちろんだが、それを着ている人の姿を見て、情景が感じられたり、空気が動く服って、あったようでなかった気がする。描かれたものから、描かれていないものをイメージさせることは、絵描きにしても小説家にしても、創造の原点のひとつだ。

■デザイナーの皆川明がレディースの服や鞄、小物、インテリアなどを手がけるファッションブランド「ミナ」の展覧会。最近はかわいさで人気を集めているが、アイディア・スケッチ、工場の写真や映像、ファブリック、これまでの代表的な服など、発想から完成までの過程にある様々な要素-ミナの「粒子」を展示。ファッションにとどまらない、ものづくりの可能性を見せる構成になっている。

■素材となる生地は、当初よりオリジナルでつくられている。会場では手描きの柄が意匠図となり、実際に布として織られている過程も、順列ではなく散りばめられているので、自分であれこれつなげて見るのも楽しい。個人の頭のなかのものが、職人技との共同作業で、現実のかたちになっていく道のりが見てとれる。それがクオリティとして、説明的ではなく、ものが物語っている。

■ストライプやチェックといった定番柄にしても、和洋それぞれの意匠をひも解いて現代の感覚で再構成したようなものもある。間隔を微妙にランダムにしてみたり、織のクセを生かしたり……。人魚のウロコ柄という「marmaid」などは青海波のようでもあり、よく見ると手描きの感じを生かしてひとつひとつが微妙に違う。

■現代美術では、アイデアのみでも作家と呼ばれる状況に対してか、美術と工芸の間に新たなる地平を求める向きも見られる。素材を生かしながらもどこまで手を加えるか、また、西洋的な文脈ではなく、日本の土壌のもとにオリジナルを生み出そうとすることや新作主義が抱える問題など、共通項が多い。また、お客に喜ばれるという目的のひとつが、ファッションは明確でうらやましいとも思った。喜ばれるということの質についても考えたりした。

ミナ粒子展
2002年4月23日(火)〜5月6日(月)
スパイラルガーデン
港区南青山5-6-23
(地下鉄表参道駅B1出口すぐ)
11:00-20:00 無休
TEL.03-3498-1171

words:白坂ゆり

art154_01_2皆川明のスケッチ。展示品のキャプションも彼の自筆。

art154_01_3靴箱のように開けて、布地を間近に見られる

art154_01_4テキスタイル「travel」(顔料プリント加工)

art154_01_5奈良の職人とのコラボレーションで、水牛の角でつくったボタンやブローチの工程。貝や木の実など、小さなパーツもオリジナルデザイン。

art154_01_6刺繍機のほぼ実物大コピー。約13m一気に刺せる。映像にも見入ってしまう。

2002-04-23 at 11:01 午後 in 展覧会レポート | Permalink

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