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牛嶋均展

「解体から再生の物語へ」


art151_04_1自由に遊べるジャングルジム


■大人がよじ登っても、ぶら下がっても大丈夫。ギャラリーのスペースを占拠したジャングルジムは、旧ソ連の戦車をモデルに、ほぼ実物大で作られている。作者の牛嶋均はこれまでにも、実際に乗ったり動かしたりして遊べる遊具を、美術へ発展させる作品を発表してきた。それらはみな素直に楽しめるものだったが、今回はやや旗色が違うようだ。

■壁に設計図が架けられている。完成図と組み立て部品、そしてリヤカーの図面。戦車のジャングルジムは、個展の会期を終えると、大勢の人の手で解体される。「砲身から最初にはずすだろう」と彼は語っていた。牛嶋は3月21日から開催の「第2回福岡アジア美術トリエンナーレ」の出品作家の1人だ。分解された部品は、トリエンナーレの会場でリヤカーの形に再構築される。設計図はその工程を示しているのだ。

■リヤカーにはたくさんの段ボールを積んで運ぶ予定だという。トリエンナーレの来場者に、自由に「キチ」を作ってもらうために。それぞれの人の拠りどころとなる「キチ」が増え続け、やがて村になる日を思い描いて。

■「戦車のかたちを作りたい」というプランが浮かんだ時、牛嶋は家族とその是非を話し合ったと言う。誤解を恐れず提示してみようと決めてからは、家族も作品の参加者となった。会場の一角に貼られた「せんしゃのはなし」は、5歳の娘さんが描いたもの。さらに来場者による物語が追加されてゆき、いずれは本にまとめられる予定だ。

■展覧会初日は関連企画「小沢剛プレゼンツ鍋パーティ」で幕を開けた。野菜でマシンガンをかたどって撮影し、その材料で郷土の鍋料理がつくるプランだ。戦車を前にもつ鍋を食べながら、第二次世界大戦下の日本で、金属供出が奨励された話を思い出した。家庭の鍋・釜でさえ武器にするために供出された事実。ならば逆に、武器を違う目的の道具へ変えていくこともできるのではないだろうか…。


人智の研究 Ver.1...遊具 牛嶋均個展
2002年2月22日(金)~3月17日(日)
三菱地所アルティアム
福岡市中央区天神1-7-11 イムズ8階
(福岡市営地下鉄「天神」駅より南へ徒歩3分)
10:00-20:00
入場料/一般400円
TEL.092-733-2050

人智の研究 ver.2...キチ
(第2回福岡アジア美術トリエンナーレ)
2002年3月21日(木)~6月23日(日)
福岡アジア美術館
福岡市博多区下川端町3-1博多リバレイン8階
(福岡市営地下鉄「中洲川端」駅、川端出口よりすぐ)
10:00-20:00  水休
入場料/一般800円
TEL.092-771-8600

*田中泯によるパフォーマンス 3月9日(土)15:00~19:00
牛嶋均パフォーマンス 3月17日(日)16:00~

words:中山真由美

art151_04_2全体を見ると戦車の形をしている

art151_04_3戦車と組み立て部品、リヤカーの設計図

art151_04_4トリエンナーレではこんな「キチ」が作られる

art151_04_5来場者が「せんしゃのはなし」を書いて壁に貼っていく

art151_04_6小沢剛によるオープニングパーティで、このマシンガンがもつ鍋になった

2002-03-21 at 02:34 午後 in 展覧会レポート | Permalink

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