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白髪一雄展

「足で描くアーティスト」


135_03_1入口を入るとすぐ左手に白髪の近影があり、右にあるのは近作「今様乱舞」(2000)

■白髪一雄の50年以上に及ぶ画業を回顧する展観が兵庫県立近代美術館で開催中だ。白髪は今年77歳、しかし年齢を感じさせない力強い作品をつくり続けている。会場でまず私たちを迎えてくれる「今様乱舞」(2000)は色使いも華やかで、足で絵具を蹴散らしながら描いてゆく白髪の独特のスタイルの作品だ。

■白髪の作品というとこってりと絵具が盛り上がった抽象画をすぐに思い浮かべるが、1940年代に描かれた大阪市内の風景画なども今回の個展では展示されている。絵具を筆につけるのではなく、直接指で描き、その後すぐ足を使いはじめた50年代、板などを用いて描いた60年代、そして70年代後半からは再び足だけを使って描いている。作品の変遷が展覧会場を歩いてゆくとよくわかる。

■足で描くアーティストであると同時に、白髪一雄というと「具体」の作家としても多くの人に認識されている。具体美術協会は1972年に解散してから30年近く経とうと云うのに、「GUTAI」として世界でもいまでもその活動は注目されている。そのなかでも白髪は特に注目されるアーティストの一人である。

■会場にはこれまでの代表作約90点とともに、今年の5月28日に自宅で撮影された制作風景のビデオとともに、白髪がつかまって足で絵を描くための天井から吊り下げられたロープなども再現されている。同様の描法を使っていても60年代の勢いはなくなってきていることは否めない。しかし、作品にこめられた精神性のようなものは、さらに厚みを増しているように見える。

アクションペインター 白髪一雄展
2001年6月2日(土)〜7月22日(日)
兵庫県立近代美術館
神戸市灘区原田通3-8-30
(JR灘駅北口、阪急王子公園駅西口から徒歩5分)
10:00-17:00(入館は16:30まで)  月休
一般1000円、大高生700円、小中生400円
*兵庫県内の小中生はココロンカードの提示により無料。
TEL.078-801-1591

words:原久子


135_03_21960年前後に描かれた作品を展示した会場風景

135_03_3(左)「丹赤」(1965)、(右)「天寿星混江竜」(1965)

135_03_4左から、「赤い扇のオブジェ」(1965)、「赤い脈」(1967)、「慶長拾九年」(大阪冬の陣)(1968)、「元和元年」(大阪夏の陣)(1968)

135_03_5展覧会場にビデオをとともに再現された「兵庫」(2001)制作風景

135_03_6(左)「宝鶏」(1992)(右)版画のシリーズ。いずれも1993年の作品

2001-06-02 at 09:42 午後 in 展覧会レポート | Permalink

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