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Vol.21 フジタマ(Fujitama)

フジタマというアーティスト名の由来は?

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料理番組などの素材や鍋のなか、演歌歌手が熱唱するサビの部分の映像が連続して編集されていたり、ドラマのなかでシリアスな表情で受話器をもっているワンシーンなどが集められたビデオ作品。そんな映像が流れている小型のテレビ(モニターではなく、よく下宿でみんなが愛用しているような14型くらいのもの)を左右に2台担いでのパフォーマンスは、埴輪のような顔の仮面 を被って行なわれた。スピーカーのついたレリーフから、延々と物語が語られる「ストーリーテラー」。なんだかスゴイ!って言いたくなるこの人の素顔とは。

■ 大学に入学したときに、呼び名を聞かれて「フジタマ」と答えたのですが。ずっとそう呼ばれてきたので。本名を途中で切った名前なんですが。はじめは、友人の母親が私のことをそう呼ぶようになったように覚えています。ニックネームをそのままアーティストネームにしました。女か男か性別不明な名前なので、作品しか知らなかった人などに、実際に会うと「女性だったんですか」と驚かれることもあります。

展示するというより、身体に装着したりするような作品などがありますが。どうしてそういう作品をつくるようになったのでしょう?

■ なんでも自分の好きなもので、まわりをかためたいという欲求が子どもの頃からあって、服などについてもそうだったんです。工作も好きでいろんなものをつくっていた。高校生のときにファッションデザイナーに憧れて、洋裁を習ったこともあるんです。洋服で表現して、自分の考えていることや、アイデアを見てもらいたい、 見せたいと思った。 ひとから指摘された口癖ですが。「ちゃうねん、ちゃうねん」と子どもの頃からよく言うんです。「私は違うねん」ということなんですけど。他人が持っていないものを持っていたり、知らないところへ行ってみたり。かくかくしかじかではなくて、こういうことなの、と自己主張しながらやってきました。「ちゃうねん」(=違う)は逆説的。でも、真っ向から反対するということではなくて、自分なりの筋道のたてかたがあって、それを見せたい、と思っているんです。 作品についても、「ちゃうねん」「こーやねん」「えー、そうやったん」ってあたり …。

なにかテーマとかがあるのですか?

■ なにをやろうかというアイデアは突然でてきたりする。自分のなかから出てくるというより、出会いに似ています。だから、ひとつのテーマで考えていくというような作品のつくりかたではないんです。日常的な出来事のなかで、少し視点が動いたときに「何これ?」と驚くこととかあるじゃないですか。毎日の生活のなかで起こること、頭の向きを変えるだけで面白くなったり、きれいになったり。特別のものではないんです。 漢字の書き取りで、たとえば「打つ」と繰り返し書いていると、 だんだん、打つという文字列がなんだかわけのわからない模様のように見え始めてきて、しまいには「打つ」って何?と疑問に思えてきたりする。とはいえ、みんなが、そんなことを疑問に思ったり、視点を変えることで、いつも気づかないことに気づき始めたりすることになると、もう面白くなくなってしまうかもしれない。

テレビ番組をつかった作品もそんな疑問とかに出合ってしまったからできたのですか?

■ 一人暮らしをはじめたときに、テレビとの付き合い方に変化があったのです。アンテナの故障や、TVにまつわるいろんなことが出てきたんです。テレビがいつものテレビと違って見えてきた時期があたんです。テレビって一体何を指しているのか?この家電か?はたまた電波受信システムか?それとも芸能界か?それとも単にノイズなのか??そういった疑問が日常生活におけるテレビの微妙な居座り方について頭がグラッと来た時期に作品を作りました。

ビデオ作品が多いようですね。

■ 映像表現を主体にしているという訳ではないです。その都度それに見合った表現方法というのを考えますが、最近はたまたまビデオであったという事が多いです。ただ、主に映像媒体を取り扱っている身近な作家の作品等を見たりすると、「映像」という媒体との付き合い方が、自分とではやっぱり違う。「ああ、私 ビデオ向いてないな~、ヘタヘタやん」と思う事がよくあります。

フジタマさんはそういう意味では独特の質感のある作品をつくられますね。

■ 自分ではいつも詰めが甘いかな?と思うこともあるのですが。時間との戦いのなかでやっていたりします。ただ、時間があったから詰めていけるかとい うとそうではない。どたんばで即興的なことを入れていくと、意外と面白い発見もあります。

今いちばん興味のあることって何ですか?

■園芸に凝っているんです。ソテツを育てているんですが。育て方をインターネットで調べたら、年に2,3cmしかのびないんです。古い家の庭や玄関横にソテツやシュロ があるのにひかれるんです。自分の身長を越すまでには、あと40年はかかる。でも 、“一生もの”を手に入れたって感じです(笑)。

★ビデオ上映会
日時/2000年7月1日(土) 
20:00~
会場/「NEWTRAL AGE」(ブティック)にて
(大阪市中央区南船場 第一丸米ビル2階)
アーティストユニットPUBWAYの作品も同時上映

フジタマ ホームページ
http://web.kyoto-inet.or.jp/people/fuzitama/

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words:原久子

eye22_02「読む人」2000  ヴィデオ(20分)

eye22_03「GOD」パイロットバージョン1999 ヴィデオ(18分)

eye22_04「ミスターハワイ」1999 ヴィデオ(7分)

eye22_05「金魚のブーツ」1995

eye22_06「ストーリーテラー」1999  スピーカー7台、カセットテープ、MD、話し

eye22_07「ストーリーテラー」1999 スピーカー7台、カセットテープ、MD、話し

eye22_08「テレビを担ぐ人」1997 テレビパフォーマンス テレビ2台、ヴィデオ、玉葱、包丁、コードレスホン、マイク、その他

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フジタマ(Fujitama)

1971年 生まれ
2000年 京都市立芸術大学大学院
美術研究科絵画専攻造形構想修了
個展
1997年 「テレビを担ぐ人」
(アートスペース虹・京都)
1999年 「ストーリーテラー」
(アートスペース虹・京都)

2000-06-23 at 12:18 午後 in アーティスト・ヴォイス | Permalink

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