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間島領一の修繕アート展

「アートでコミュニケーション」

art58_07有満隆弘+間島領一「バランス栄養食」(1998)。コロッケが人形の上でプロペラのようにくるくる回っている。有満氏は、このモーターだけを送ってきたとか。

■巨大なラーメン丼に裸の人体がテレビと一緒に浸かった立体など、少々えげつない、だけどどこか笑えるキュートな作品をつくる間島領一。食欲や性欲、睡眠欲といったヒトの生命にかかわる根本的問題がその基本テーマだそうだが、つきつめれば、アートをもっと日常的で身近なものにしたいという思いが、いつも制作の底流にあるのだろう。

■一年ほど前、彼は画廊をコンビニに見立て、低価格の自作を並べるというユニークな試みを行なった。そのとき会場の一角に設けた「修繕アートコーナー」が後に今度の展覧会に発展したという話は、そんなわけでなかなか興味深い。「あなたが持っているつくりかけの作品、もしくは不用品、アートにしてもらいたいお宝など、何でもマジマ流アートにします」。そう呼びかけて、アーティストから実際に送られてきた作品や材料を、彼は独断と偏見であれこれ創作をほどこし、新たな作品に仕上げて実際に売ったのだが、これが好評で、結果、協力作家も増えたかたちでこの奇妙な作品展が開かれることになったのだ。

■修繕といっても、勝手に手を加えるのだから修復ではない。かといって作家同士のコラボレーションでもないという不思議な作品なのだが、間島の本領発揮というべきか、会場にはコミカルで遊び心のある作品群が詰まっていた。たとえば持ち込まれたモーターとケースに対して、ネコの置物が中でくるくる回る作品が誕生していたり、送られた飴で、間島おなじみのおっぱいの彫刻がつくられたり。作品ではなく、骨折時の足形を送ってくるヒトもいて、返歌ともいえる意外なアイディアのやりとりが面白い。

■もちろん、新旧多数の作家のもとの仕事を知らなければ、完成作のツボが見えにくいという難点もある。けれど、それなりに作品が高額になっている作家たちによるものが、「未完の作品を修繕してもらう」というお題目によって、かなりのお値打ちで(数百円から八万円の範囲)販売されるというのは、これは一種の価格破壊なのかも。

■こんなふうにして、オリジナリティの名のもとに、どんどん高額で敷居が高くなっていくアートの現場に、茶目っ気のある一石を投じたこの展覧会。結果としてこれまで知らなかったアーティストとの出会いの場にもなっていて、アートを楽しむひとつの方向を見せていたように思った。

間島領一 修繕アート展
3月8日(月)─3月27日(土)
ギャルリーユマニテ東京
東京都中央区銀座1-8-2銀座プルミエビル4階
tel.03-3564-4350 日休

words:宮村周子

art58_08会場風景より。右奥は、小松原緑の写真に女装した間島がコラージュされた作品。それぞれの作品の脇に、もとの材料や作品の写真が貼られている


art58_09中山ダイスケ+間島領一「ラブシャベル」(1999)。先端についた中山のハート型刃物が、モーターでゆっくりと回る


art58_10木村太陽+間島領一「あ〜ん」(1997)。箱型の写真がもとの依頼品


art58_11最も濃いとりあわせで目立っていた、森村泰昌+間島領一「相愛」(1999)


art58_12間島領一氏。背後の右は福田美蘭の、左は開発好明の修繕アート

1999-03-08 at 11:29 午後 in 展覧会レポート | Permalink

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