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タムラサトル展

「圧倒的な存在感がアート」


art42_01会場風景。レールが2本あり、それぞれにクマが乗っている。

■会場には2本のレールが敷いてあり、その上でクマがゆっくりとモーターを動力に前進していた。レールのいちばん前までくると、突然クマにとりつけられたプロペラがうるさく回りだし、その推進力によってレールの上を今度は後ろ向きに滑っていく。最後までいくと、プロペラは止まり、そしてまたゆっくりと前進しはじめる。

■タムラサトルの展示は、これがすべて。「え? これだけ?」と思っても、これだけ。もうひとつ展示室があるけれど、こちらではワニが串刺し状にされてクルクル高速回転を繰り返しているだけ(写真参照)。この展示を見て「えらい簡単だな」と思うか、それとも「どういう意味があるんだろう?」と勘ぐるか。「これってアートなの?」と言う人もいるかもしれない。

■以前見た彼の作品は、巨大なワニがクルクル回転しているというものだった。ほかの作品を見ても巨大な動物のかたちを使ったものが多くて、「彼はきっと動物が好きなんだなー」と単純に思っていたこともあったりする。ただ、作品を見て共通するのは、「おお!」という感嘆がいちばん先にあること。やっぱりでかいワニとかクマがビュンビュン動いているとびっくりするというか、ある意味感動してしまう。

■彼の書いた文章を読むと、彼はただ「自分の作品が強烈に存在そのものであること」を求めているらしい。「圧倒的な存在感をもつもの」ともあった。なるほど。でも、「それは分かったけどさ、なぜクマが後ろに下がるの」「なぜワニがクルクル回るの」と思う人がいるかもしれない。ということは、彼の作品がまだまだ圧倒的な存在感をもちえていないということか? やっぱりアートとして成立していないってことか?

■彼の作品はやっぱりオモシロイし、楽しい。あとは、それを見る人がそのオモシロさをどう解釈していくか、ということじゃないだろうか。オモシロイものが作品足りうるのか、圧倒的なものが作品足りうるのか。つまり「これはどういう意味があるんだろう」と思うのも、「オモシロイなー、いい作品だよね」と思うのも人それぞれ。だから彼の表現が「アートかどうか」なんてあまり関係なかったりする。表現の仕方も、受け取り方もみんなバラバラなのが当たり前だし、その幅が広ければ広いほど、作品の可能性も広がっていくんじゃない?

タムラサトル展
1998年10月24日(土)—11月29日(日)
現代美術製作所
東京都墨田区墨田1-15-3
tel.03-5630-3216

words:桑原勳

art42_02約2メートルのクマにはプロペラがみっつ。前方に子グマが2頭。

art42_03プロペラは毎分7000回転で、けっこう豪快に回る。


art42_04別の展示室では、ワニがクルクル回っていた。


art42_05


タムラサトル氏は1972年生まれ。


1998-10-24 at 01:19 午後 in 展覧会レポート | Permalink

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