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第12回写真『3.3m2(ひとつぼ)』展

■「ひとつぼ展」は、個展開催を目標としたコンペティションで、「写真」「グラフィックアート」の両部門がある。賞金・賞品がないにもかかわらず、毎年多くの、とくに十代から二十代による作品が集まる。パルコの「アーバナート」やキヤノン「写真新世紀」とならび、美大生のあいだでの認知度はけっこう高いんじゃなかろうか(どうですか美大の方々)。

■なぜこれだけ多くの人が応募するようになったのか。その理由は応募条件を見ると納得できる。テーマや手法はともに自由だけど、「ひとつぼ」だけあって、サイズ・重量規定は設けられている。プロ・アマは問わないが、年齢は35歳以下だ。国籍は不問で個人制作という条件もつく。出品料はもちろん(?)無料。また応募資料はポートフォリオ(B4サイズのクリアファイル)であることも特徴だ。

■作品としての表現方法は限りなく広いし、いわば「なんでもあり」という状況だから、なにが出てくるのかわからないという楽しみもある一方、判断しずらくて結局評価されなかったり、一部の人にしか受け入れられなかったり、自己満足では? といった作品もある。「ひとつぼ展」は、逆に展示スペースや提出資料に制約があるぶん、発展途上である若い作家に受け入れられやすい。一次審査を通過した十数名は会場で作品が展示され、公開審査によって自分と他人の作品がどのように評価されるのか、自分自信で確かめることもできて、けっこういい経験になると思う。

■実際に展示を見てみると、ファイル制作と作品展示の差異(見せ方の違い)をうまく自分のなかで消化しきれていない人も多い。ファイルは抜群にいいけど、という人、展示はいいのにファイルがヘタ、一枚だけ見ると説得力があるのに、何枚か並べると印象に残らないとか。それでも、一次審査を通過した作品は、それぞれどこかに「おっ」と思わせられるものがある。条件が同じだから、それぞれの「いいところ」がよく見えてくる。

■ただ写真を撮って並べるだけではなく、自分の作品スタイルや見る人への配慮を含めた構成、プレゼンテーションなどを含めたものが「作品を見せる」ことなのだと、学校では教えてくれない。作品の見せ方やつくり方にはいろいろあっていいし、こういう手法をよしとしない人もいると思う。だからこのコンペが名声を目的にするのではなく、「作品をつくりたい」という衝動や「見てほしい」という思いを表現する場であることを、つくる側も見る側も、いつまでも忘れないでいてほしい。そしたらまた、見てみたいと思うから。

第12回写真『3.3m2(ひとつぼ)』展
1998年9月14日(月)—10月8日(木)
ガーディアン・ガーデン
東京都中央区銀座8-8-18
tel.03-5568-8818


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会場風景。一階と二階に分かれて展示される。ひとりあたりのスペースは「3.3・(ひとつぼ)」だ。

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今回グランプリに輝いた瀧康太くんの展示。大胆な主題と生々しい色が印象的。賞として、約一年後には同じ場所での個展が開かれる。

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4枚の写真で構成された松本典子さんの展示。人によって写真の枚数、展示構成の方法は様々だ。

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応募者はポートフォリオ(作品ファイル)によって事前審査が行われる。通過者の作品展示の横にそのファイルも置いてある。

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9月24日に行われた公開審査の様子。事前審査を通過した13名のプレゼンテーションの後、グランプリが決められた。一般にも公開されている。

1998-09-14 at 10:44 午後 in 展覧会レポート | Permalink

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