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アルプスの画家 ミスター展
「自分を表現するってことは」
壁にはレシートの裏に描かれたオンナのコたちがたくさん。
■絵を描いたりする人は、もちろん描きたいから描いているんだということを、最近忘れちゃってることが多い。なぜかというと、「自分のやりたいこと」の結果が絵(作品)になってるんだなーというのが、伝わってこないことが多いからかもしれない。マジメに「僕って鈍いヤツだったのか?」と悩んでしまうではないか。
■ミスター(岩本正勝)の作品である、レシートや領収書の裏に水彩で描かれたロリ系のオンナのコたちは、やっぱりそういうオンナのコ好きの彼が描くからこそ人をひきつけるのは間違いない(作品から察するに、彼は小学校高学年から中学一年生くらいの年齢に愛情を感じてる)。だって、僕はべつにロリコンじゃないけど(笑)、「そうだなー、僕だったらこのコがいいなー」とか、作品を見ながら考えちゃうし。
■僕がその場限りの、好みのオンナのコを選んでしまうのは、僕が彼の世界に入っちゃってるから。つまり描いている彼自身の思いが、なんらかのかたちで僕に重なっているからだと思う。誰かのコレクションや持ち物をみて、「ああ、やっぱりこの人は、こういうカンジのものが好きなんだ」と思う瞬間ってある。ちょうど、そんな感覚と言えば分かりやすいだろうか。
■見る人は、作品一点だけを見てるわけじゃなく、会場の場所から展示構成、チラシや日程、はては天気やその日の気分にまで左右されるものだろう。だけど、僕らは完璧な展示なんて見たいと思ってないはず。大切なのは、「その人が表現したいこと」が、会場全体の空気と化していることだ。そういう意味で、ミスターの作品は美術の文脈からどうとか、日本のアニメや漫画が云々という以前に、彼自身がちゃんと表現されていた展示だったということだろう。
■その結果、好みのオンナのコを捜す人もいれば、「サイテー」と一瞥して終わり、という人もいるはずだ。作品の評価は、なにも誉められり、売れたりすることだけじゃない。他人の表現に対して、見る人がどう思うかに正しい答えは絶対にないから、「なにかを感じさせること」自体が、作品のチカラだと思うのだ。ミスターには、この「チカラ」をずっと信じていてほしい。
アルプスの画家 ミスター展
1998年7月28日(火)〜9月5日(土)
小山登美夫ギャラリー
東京都江東区佐賀1-8-13
tel.03-3630-2205
なお、8月21日(金)〜9月20日(日)までshop33(東京都武蔵野市吉祥寺南町1-1-8-3F tel.0422-48-7926)にてミスター展「大江戸くノ一忍法帳 オマメ大ピンチ」が開催される。
words;桑原勳
ちなみに僕のイチオシはこのコ。
首だけの立体作品もある。
会場風景。あまり上手く撮れてませんでした。
ミスター(岩本正勝)氏。
1998-07-28 at 11:06 午後 in 展覧会レポート | Permalink
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