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四日千秋(よっかせんしゅう)

art10_10西尾邸への案内板

■大阪の吹田市の旧仙洞御料庄屋屋敷西尾邸で現代美術展『四日千秋(よっかせんしゅう)』(11月21-24日)をやるというお知らせがメイリングリストでまわってきた。京都市立芸術大学の自主ゼミ(Gゼミ)が主催するものだとあった。メールの送り主の井上明彦氏の芸術に対する姿勢や考え方には、常々、興味があったので、是非のぞいてみようと思った。

■JR京都線「吹田」駅から歩くこと10分ほどのところに案内板がみえた。大きなお屋敷らしく、どこまでも塀が続いている。木になった柿を見下ろすように、電線にすずめが並んでとまっている姿が、なんだか絵に描いたようで、嘘っぽくて可笑しかった。

■立派な門の手前に塀には「カベメクリ」(岡田一郎)があった。付近一体の壁を撮った写真と構成していた。それを周辺のもう一つの景色として展示していた。ふだん、ぼんやりと歩いてみている風景もテーマをつくって見ることで、さまざまな見え方がある。

■広間の、軸に支えられて飛ぶ紙飛行機「風の風景」(荒蒔綾子)は、実は縁側にはまっているガラス窓のカットと呼応しつつ、昼間の光のなかでの様子と、夜の闇のなかの床の間の壁に映しだされた映像によって、光と視線の移動を感じてもらう作品だった。しかし、暗くなるまで待っているわけにもいかなかったので、私は作品の全体像を確認できなかった。

■障子や襖で部屋と部屋とを仕切る敷居。それが部屋と部屋の間を大胆にも斜めに横切るかたちで配置されている。「九間」(松岡由紀)というこの作品は、日本独特の空間や領域についての意識が、失われつつあることについて考えることから出来上がった作品のようだ。

■部屋の隅や屋外の納屋などに「この糸にかえて」(石津通子)という、蜘蛛の巣のような作品がある。侵入者をある意味で拒む蜘蛛の巣をつくることで、その向こう側にあるものへの興味をかきたてる役割を負わせたような作品だった。

■説明がなければわかりにくい作品と向き合うことはちょっと骨が折れる。見ることに慣れていても、とっかかりを見出すことに一生懸命になってしまう。肩の力を抜いてもっと楽しむことに専念したかった。

現代美術展『四日千秋(よっかせんしゅう)
1997年11月21-24日
旧仙洞御料庄屋屋敷西尾邸

words:原久子


art10_11 柿と電線の上のすずめ

art10_12門前


art10_13


門前の塀の作品

art10_14


紙飛行機

art10_15敷居が部屋と部屋をまたいでゆく


art10_16蜘蛛の巣のような


art10_17納屋にも


1997-11-21 at 09:28 午後 in 展覧会レポート | Permalink

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