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木村宗平展

電気の筆で描かれた引き算の描写

Kimura01会場には10点ほどの紙片が吊り下げられ、それに重なるように映像が投影されていた。なんとなく眺めていたが、1ループした頃にハタとに気づいた。そうか、これは電車の窓からの風景なのだと。不定形で何を意味しているのか謎だった紙片が、急に存在感を増し、車窓へと一変する。左右に駆け抜けていく夜景と一体化し、車内から外を眺める視点と外から電車を眺める視点がシンクロする。映像はメディア・アーティスト金箱淳一さんの作品。たまたまコラボレーションの時間帯だったので見ることができた(毎日17時から投影)。

映像とコラボレーション中の「終電の灯」

Kimura02同展は「Under35」という公募で選ばれた35歳以下のアーティストによる展覧会のひとつで、全部で6つある。2階会場では、アール・ブリュット作家の展覧会(古久保憲満と松本寛庸 展)が開催されていたが、ビルや車を全方位から重ねて描く古久保さんの濃密な作品を見てきたばかりだったので、ギャップが大きかった。木村さんの作品は、充分な余白、うっすらと差し込まれた色、必要最低限の線で描かれている。喧騒の都市描写とは対照的な「無音」の絵。

「半径20kmの境界」シリーズより「コンビニ」

Kimura03情報量をコントロールしたシンプルな作品群には、ひとつの共通したテーマがあった。
 ー電気ー
東日本大震災とは切っても切り離せない大きなファクター。「半径20kmの境界」シリーズは、該当区域のコンビニやガソリンスタンド風景、その地で働く警備員や作業員の群像を描いている。「横断歩道」「終電の灯」も、よくある光景だが、電気あっての産物だ。「電力」で紙を焦がした痕跡によるドローイングという変わった技法を用いている。

会期中は公開制作を実施。よこはまコスモワールドのアトラクション(部分アップ)

いずれも写真を撮って、そこから残したい部分だけ選び、描写しているという。描かれていない部分に何があったのか?木村さんの想像以上に、人は見たいように見るだろう。でも、それでいいと思う。

Under35
BankART Studio NYK
2013年3月22日(金)〜4月14日(日)会期中無休
11:30〜19:00 入場無料 TEL 045-663-2812
神奈川県横浜市中区海岸通3-9

words:斉藤博美

2013-04-10 at 07:11 午前 in 展覧会レポート | Permalink

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