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イスクラ・ディミトロヴァ展「こども会議」

「心を解き放てる空間」


art198_02_1「こども会議」会場は見事に真っ暗!


■何層かの黒いカーテンをかき分けて会場に入る。暗闇の中であちこちに光が灯っていた。無数の緑色LEDが散りばめられた星のよう。自分と灯との距離で空間の広さをつかもうとしても、すぐに目が慣れるわけもなく奥行が全然見えない。果たして既に入っている観客はいるのだろうか。暗闇でぶつかりやしないかと不安になり、壁づたいに進みながらあえて自分から音を出してみる。

■別な音が耳に入ってくる。子供のささやき声。あまりよく聞きとれないが「あのね…お母さんがね…」と、時々誰かと話しているのがわかる。そういえば作品タイトルは「こども会議」。ひみつの話をしているのだろうか。こそこそっとつぶやく甘ったるい声に自然とヒーリング効果を感じていた。

■この空間を創ったのはイスクラ・ディミトロヴァさん。人間の在り方や身体性をテーマにインスタレーションで表現しているマケドニア共和国のアーティスト。昨年9月から国際芸術センター青森に滞在して制作発表し、今回は横浜での展示である。この作品はホタルからインスピレーションを受けたそうで、誰もが瞑想に浸り子供のような純粋な精神を取り戻すことを意図している。

■音源は青森で何十人もの幼児たちにインタビューをして録音された。イスクラさんの前ではみな緊張気味でほとんど話せない子もいたという。でも滞在を終えてお別れの時、去っていく彼女に何も言えず後ろ姿を眺めていた子供たちから突然「イスクラさーん!」と大声が上がったそうである。ほんとはもっともっと交流したかったのに素直になれない子供たち。そんなシャイな彼らと過ごした時間は作家にとっても素敵な体験だったにちがいない。

■それにしてもまるで宇宙に放り出されたような異空間。暗闇に身を沈め、煩悩が消え始めてからどのくらい経っただろうか。いつのまにか目が慣れ、人や壁の位置まで把握できるようになっていた。けっこう会場の奥まで来ていたが、もう難無く出口へ向かえる。顔にまとわりつくカーテンを振り払い…下界に戻った。なんて眩しさ。まるで夢から覚めた時のように今までの時間が消えてしまいそうだ。でもまたいつか暗闇に戻る時は、自分の中の何かが更新されているにちがいない、と思えた。

イスクラ・ディミトロヴァ展「こども会議」
2004年1月31日(土)〜2月29日(日)
横浜美術館アートギャラリー
神奈川県横浜市西区みなとみらい3-4-1
(みなとみらい線「みなとみらい」駅下車、「美術館口」より徒歩3分)
11:00〜18:00
木休
入場無料
TEL.045-221-0300


art198_02_2「こども会議」ホタル観賞のような光景


art198_02_3こちらが作家のイスクラ・ディミトロヴァさん


art198_02_42002年に遊工房(東京杉並区)でも展示した作品
「ECHO and NARCISSUS」
(to Iskra with love and self-irony)
Video installationMuseum of Contemporary Art, SkopjeJune, 1999


art198_02_5ベネチア・ビエンナーレで行ったゲリラ的パフォーマンス
棺を乗せたゴンドラで詩を朗読する作家
「WC (Wonderful Creatures)」
Installation, site specific and performanceUnofficial Presentation of Macedonia Outside the programme of the 48th Venice Biennale, June 10-13, 1999


2004-01-31 at 04:43 午後 in 展覧会レポート | Permalink

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