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米原昌郎 雨宮庸介展「mist/imitation」

「ホントはわりきれないからおもしろい」


art117_01_1雨宮庸介「胡蝶の正夢」もうひとつの世界が現実のすぐそばに現れてしまうような感覚を、荘子の「胡蝶之夢」をもじってタイトルに


■現代アートには「問いかけ」が多い。あたりまえと思っていた物事を別の視点から眺めさせ、見る人に考えさせる。でも、たとえば銀座のギャラリーを回って10軒が「問い」だった日はシンドイこともある。音楽や演劇のように、少しはその先の作り手なりの考えが打ち出されていても良いんじゃないか、と思うときもある。

■そんなとき、ギャラリーとギャラリーの間を歩くのは、考えたり感じたことを反芻するのにちょうどいい。自転車で走るとか、身体を動かしたり、移動中や旅先で歩く時に、考えが“降りる"ことがある。これから紹介するギャラリーも、かなり旅。こちらも問いかけであり、わざわざだまされに行くのだが。

■雨宮庸介の、部屋の中央の赤い椅子は、表面が色鉛筆で描かれている。クマの毛も絵の具で描かれていて、草むらみたいだ。闇夜に樹木を見て、葉や幹を求心的に眺めると現実感が失われる感覚も思い出す。雨宮が立体の中に絵画のイリュージョンを仕込んでいるのに対し、米原昌郎は本来は立体をつくる油土(粘土)で平面をつくり、絵画を装っている。設定は特にないが、物語のシーンのようだ。リリカルというより、何かがいた気配、サスペンスを感じる。

■隣の部屋では、部屋の壁に部屋(の絵)がある。写真の上に透明人間が描かれた「いない気配」と題された作品。映画の特殊技術で見る透明人間を思い出す。一連の作品はだまし絵ではなく、存在そのものを疑い、問いが問いを連想させる。

■田畑を背にした駐車場には、米原の、シリコンゴムという軽薄感を醸し出す素材でできた国会議事堂がそびえる。道路沿いには場違いな(でも郊外によくある)色彩のパチンコ屋などがあり、唐突な奇妙さがなじんでしまう感じさえある。

■外の風景を見渡すと、現実に見えていたものが何なのかわからなくなるかもしれない。最近は田舎でも悲惨な事件が起きることを思うと、都市と同じ、しかも実体はないニセのもやもやした情報に覆われて、こんな広い平地や草木や石なども見えていないんだろうな、と思う。現代美術って、普及していないだけで、もう都市だけのものではないんじゃないだろうか。

米原昌郎 雨宮庸介展「mist/imitation」
2000年10月6日(金)〜31日(火)
アカデミア・プラトニカ
茨城県那珂郡那珂町飯田2574-17
(新宿駅南口発{7:30/13:25/15:35}、東京駅八重洲南口発 {14:00/16:10}高速バス「サイクル機構方面」または「茨交太田営業所」行き「那珂I.C」下車。徒歩15分。クルマ:常磐高速自動車道「那珂I.Cひたちなか・大子」出口降り「飯田押敷」交差点左折。「町道五差路」交差点右折、50m左側)
11:00-18:00 水木休
TEL.029-295-5050

eords:白坂ゆり

art117_01_2表面のアップ。樹脂でつくった白い立体に、色鉛筆で着彩。空の色も映り込む

art117_01_3壁側2点。米原昌郎「タブロー」コラボレーション的に展示

art117_01_4こちらも「胡蝶の正夢」より

art117_01_5表面のアップ。難しく考える前に、まずは驚嘆

art117_01_6雨宮庸介「いない気配」

art117_01_7米原昌郎「国会議事堂」表面を変えることで実体のなさが浮き彫りに。とはいえ、ユーモアで見せるのがいい

2000-10-06 at 03:33 午後 in 展覧会レポート | Permalink

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