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草間彌生展—わたしは何処

「消そうとしても消えないもの」


art68_01左より「水玉の集積」「緑の季節」「水玉の集積」「夕映え」ともにキャンヴァスにアクリル


■現在、東京都現代美術館で初期〜帰国後までの約200点を集めた大回顧展が行われている草間彌生。水玉や突起物があふれかえって、東京都現代美術館のあの過剰に無機質な空間を生々しく侵食してかなりおもしろかった。一方のオオタファインアーツでの展示は、セラミックの自画像や、水玉モチーフの油絵まで展示されている。

■多かれ少なかれ、「なんでこんな風にしか生きらんないんだろう?」って思うことは誰にでもあるに違いない。なるべくしかならないままに死んでくのが現実と薄々わかっていても、抱かずにいれない『?(なんで)感』は、要するに自分への関心の高さのあらわれ。現在過去未来、とにかく自分に関するすべてが気になってしょうがないってことだろう。だから、妙な自責の念みたいなものを感じて、『?感』を、何よりも強い自分への関心を消したいと思う。

■そういうジレンマの中で、彼女の作品を見ているとあることに気付く。普通ならくり返しくり返しという反復によって消えていくはずのものが、生まれてきて、埋もれていくはずのものが浮かびあがってくる。美しさをもって再生した純度の高い自意識に圧倒されると同時に、こんな風に消そうとしても消えないほどの自意識をもっていてもいいんだ、と思えてくる。それは、自責の念が水玉のひとつひとつに吸い込まれて消えていく、そんな感じ。

■輪郭を描いた線と無数のぶつぶつのような穴とが同居する彼女の自画像を見ていても、誰にも先の見えない、自意識の果てが平坦でないことは伝わってくる。でも美しいかたちに再生するという彼女が見せる一瞬の光に眩まされて、こっちまでイケそうな気がしてくる。自分の過剰な自意識を受け入れて生きる——かなりハードな試みだけど。

草間彌生展—わたしは何処
1999年6月1日(火)—7月1日(土)
オオタファインアーツ
東京都渋谷区恵比寿西2-8-11
tel.03-3780-0911
11:00〜19:00 日月休

words:桑原勳

art68_02「鳩の贈り物」


art68_03壁には立体作品がかけられていた


art68_04作家が自画像として制作した作品群


art68_05オオタファインアーツの会場風景。上の画像はすべてここで展示されている作品


1999-06-01 at 09:11 午後 in 展覧会レポート | Permalink

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