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MEDIA SELECT展

「異空間での仮想現実体験」


art71_m01artport 99 MEDIA SELECT展の入口


■港に並ぶ倉庫。外からは見たことがあっても、中に入ったことのある人は案外少ないのではないだろうか。名古屋港の倉庫を舞台に今年の夏、いくつかイベント(artport '99)が行われる予定だ。そのシリーズ第1弾として、メディア・アートの展覧会が催されている。

■古い倉庫を使った美術展というのは、さまざまなところで行われてきた。テンポラリーなものから恒常性のある利用まで例をあげればきりがない。ボルドー現代美術館(フランス)など内容的にも非常にレベルの高いものもある。世界の美術界の現在を観ることのできるヴェネチア・ビエンナーレの会場にもレンガ倉庫が使われている。

■古い建物のせいと連日の雨で湿気がひどい倉庫内。17作品の多くが映像のプロジェクションをともなうもので、暗闇のなかで作品と出合うことになる。高い天井とむき出しの壁が、音の響き方を非日常的なものにしている。

■たとえば、会場の外の港の風景をリアルタイムでヴィデオカメラでとらえた映像「重力の転位'99」(山口良臣)は、ただ延々と壁の向こうが映し出されているだけにもかかわらず、じっと前にとどまって映像に見入ってしまう。マイクで拾ったサウンドをヘッドホーンで聴く「Sonic Interface ver.1.0」(前林明次)は、そこにある音を遅らせながら送ったり、モザイクをかけるようにばらばらに切断しながら聴かせたり。そして、3つめのステップでは過去の音をどんどん重ね合わせて体験者に聴かせる。異質な環境が影響して、感覚をはるか遠くに持っていかれたような体験をした。

■17組のアーティストは、地元を中心に選ばれているが、どれも非常に完成度の高い作品が揃っている。体験せずして何も語れないので、港の倉庫にこの機会に足を運んでもらいたい。

●MEDIA SELECT展
会期:1999年6月25日~7月11日
12:00~21:00(月曜日休)
会場:名古屋港ガーデンふ頭20号倉庫
お問い合わせ:
tel.052-659-3900,052-972-2223

words:原久子

art71_m02a

art71_m02b津田佳紀「ANTI SPECTACLE」
3台のプロジェクターを使って、世界経済の動向を左右するこの人物の発言(テキスト/文字)を表示する。メディアによって作り出された社会のイメージ(スペクタクル)を分解し、再構成して、経済、産業、文化の結接点を映像化した作品

art71_m03森脇裕之「postronics Noosphere-BCD Addition」
観客の任意の入力に応じて長時間かけて行なわれる演算処理のプロセスをみせる作品なのだそうだ。情報宇宙と現実にある宇宙とをイメージさせる作品

art71_m04小林亮介「家族の肖像(ドリンク編)」
煌々と光っている飲み物の自動販売機。そのうえのモニターに映るのは淡々と缶入りの飲み物を飲み続ける家族各々のポートレイト。映像の飲むという行為がかろうじて販売機と家族を結びつけている。

art71_m05河原崎貴光「tracer」
描かれた人物の輪郭をロボットがなぞっていく。なぞりながら新たな線を描き、トレースの線の微妙なズレや重なりになどにより、次第に自らが描いた線に惑わされていく。

1999-06-17 at 10:40 午後 in 展覧会レポート | Permalink

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