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藤浩志展

ヤセ犬売ります


art31_fuji01ヤセ犬がやってきた(画廊の前の看板)


■木を荒く削り出してつくったヤセ犬たちが床中にところ狭しと並んでいる。展覧会最終日の夕方ということもあってか、大入り満員である。犬のすき間に人間がやっと立っているという感じだった。一匹一匹、鼻の長さや目の描きかたでずいぶんと表情が違う。

■藤さんは海外青年協力隊の任務でパプアニューギニアに赴任していたことがある。国立芸術学校の講師をつとめていたそうだ。このヤセ犬たちはそこで出会った野豚を追うための犬なのらしい。パプアニューギニアについての知識を持たない私が、新聞でみた津波の被害のことを話題にした。藤さんは淡々と「テレビのニュースで 学校の先生が、ふつうの顔して学校にくる生徒がいなくて、なんていって取材に答えていたでしょ。そんな土地柄なんだ。成人する人は生まれてきた子どもの10人にひとりくらいのところなんだから。津波は天災でしょ。みんな住民は被害は仕方がないと受け入れてしまう。神戸の地震のときは、あれな人災だよね。あれとは違うんだ」といった。私はなにもこたえられなかった。

■過去にいろんなまちでヤセ犬と遭遇した。あるときは福岡で、またあるときは大阪の商店街で。いつもヤセ犬は神出鬼没だ。はじめて今回は画廊のなかでみた。でも、ヤセ犬はどこにいてもヤセ犬であった。あの目は人に媚びたりはしないが、人を“おとす”ことのできる目だ。

■この個展をもってヤセ犬の作品としての販売は最後だという。はじめて「美術作品」を購入したというさおりちゃんは、記念すべきヤセ犬をいつまでもいとおしそうにみつめていた。

■この1週間後の8月8日から9日にかけて、藤さんがプロデュースした「そそりゆく音楽」(主催・会場:岐阜県上石津町日本昭和音楽村)というアート・イベントに出かけた。高嶺格の映像インスタレーションや、ハードコアバンド「母太鼓チンと計算プン」によるマルチメディアパフォーマンス、三輪眞弘らによるワークショップが行われた。藤さんの多才さとタフさにあらためて驚かされた企画だった。

藤浩志個展「ヤセ犬売ります」
会期:1998年7月27日~8月2日
場所:アートスペース虹(京都)

words:原久子

art31_fuji02画廊内部のヤセ犬たち


art31_fuji03壁面に直接かかれた「野豚を追う為のヤセ犬」のテキストの一部


art31_fuji04売られていく先が決まったヤセ犬にサインをする藤浩志さん


art31_fuji05ヤセ犬です


art31_fuji06運んでいた箱は画廊の隅に積み上げたまま展示されていた

1998-07-27 at 02:55 午後 in 展覧会レポート | Permalink

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